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MPLSについて

MPLSとは

MPLS(Multi Protocol Label Switching)とは、パケットの前方にラベルと呼ばれる識別子を付加して転送を行う技術。
生まれた当初はラベルを使ってルーティングを行うことで、IPヘッダをみてルーティングを行う場合と比べて処理を高速化させることを意図した技術だった。
しかし、現在ではルータ等の情報機器の性能が向上したため、高速化目的で使われることは少なく、 もっぱらIPネットワークに明示的なルートを提供するトラフィック・エンジニアリングの機能や、VPNサービスを提供する際に使用される。

MPLSの仕組み

MPLS網はMPLS機能を持ったルータLSR(Label Switch Router)で構成される。特にMPLS網の入り口に当たる部分を構成するルーターLER(Label Edge Router)と呼ぶ。 特にMPLS網利用者側の入り口端末をCE(Customer Edge router)、MPLS網提供者側の入り口端末をPE(Provider Edge router)と呼ぶ。

MPLSではラベルをパケットに張替えながら通信を行う。MPLS網内で同じ宛先のパケットの集まりをFEC(Forwarding Equivalence Class)と呼び、 ラベルの付けられたパケットの道筋をLSP(Label Switched Path)と呼ぶ。 ラベルは次にどのLSRにパケットを転送するかという経路情報を持っている。 パケットにラベルを貼ることをPush、ラベルを張り替えることをSwap、ラベルを取り外すことをPopと呼ぶ。
まず送信側のPEでパケットにラベルがPushされ、ラベルの情報にしたがって宛先LSRに送信する。パケットを受け取ったLSRはラベルをSwapし、次のLSRへ送信する。 これを繰り返して宛先がのPEにパケットが到着した時、ラベルをPopし、宛先へパケットをフォワードする。(以下図参照) f:id:bonity:20180517000023p:plain

MPLSではラベルをみて経路を決定するが、そのラベル情報をLSRを配布する手順をLDP(Label Distribution Protocol)と呼ぶ。LDPには2種類存在する。
まず1つはDU(Downstream Unsolicited)という方法であり、FEC情報を持っているLSRから順に隣のLSRにラベル情報を伝えていく方式である。 上記図でいうと、宛先側のPEから順に隣接するLSRにラベル情報を伝えていく。この場合LSPはIGPの示す経路情報をそのまま反映したものとなる。
もう一つはDoD(Downstream on Demand)と呼ばれる方法である。DoDではLSRがラベル情報の要求が受けた場合、FECに対応したラベルを配布する。DUに比べて必要最低限のラベル情報を配布する事が出来る。

また、TE(Traffic Engineering)機能を用いることで明示的な経路選択を行い、自由に経路を設定することができる。

MPLSの用途

MPLSはIP-VPNサービスを提供するのに利用されている。通信キャリアの持つ閉域網を使うためセキュリティ性が高く、専用回線を引くよりもコストが安くすむ。